ドライフラワー
生花、葉、茎、果実等の水分を抜き乾燥させて、装飾等に使う物をドライフラワーと呼びます。
生花よりも植物を長く楽しむことができるのが特徴で、アンティークでおしゃれな見た目から、近年さらに人気が高まり、家庭用インテリアにとどまらず、ウエディングブーケやヘアパーツ 、式場装飾、ギフトにもドライフラワーが多く選ばれるようになりました。
ドライフラワーの歴史
ドライフラワーの歴史はかなり古く、古代エジプト時代の王のミイラにドライフラワーで作った花冠が置かれていたそうです。
またギリシャ神話の中にも、花を愛する王の娘が恋人から届く花がすぐ枯れてしまうのを悲しみ、花々を自分で乾燥して長く保存する方法を思いつき、いつまでも大切にしたという話があるそうです。
インテリア用としてドライフラワーが広まったのは、17世紀以降ヨーロッパ北部から。
花のない冬の室内装飾のために開花時に草花を集め、食料や薬草の貯蔵と同様に乾燥させていたと言われています。
それが、イギリスの英国のビクトリア朝時代にフラワー・アレンジメントが流行したこともあり、薬草、香料とともにドライフラワーになる植物の研究がさかんになり、当時の婦人たちのあいだで広く親しまれるようになったそうです。
日本で最初にドライフラワーとして利用されたのは千日紅の花で、「陰干しにすると花のない冬でも楽しめる」という文献が残っているそうです。江戸時代には貝細工(ヘリクリサム)などが渡来して、主に花壇用として広まっていきました。
昭和期に入るとドライフラワーという言葉ができ、それ以降、鑑賞用として定着し現在に至ります。
千日紅や貝細工は、花弁の水分が少なく簡単にドライフラワーにでき色持ちも良いので、ドライフラワー初心者さんにもおすすめの花材です。
ドライフラワーの作り方
①自然乾燥
ドライフラワーにしたい花を、茎をまとめ小さな束にしてつるして乾かします。
ハンギング法と呼ばれるもっともオーソドックスな方法です。
咲いているものを摘む場合は、日中は避け、朝や夕方摘み取ります。
生花店で買う場合、花びらに傷がなく、よく水揚げされているものを選びましょう。種類によって異なりますが、多くの花は開花しきっていない段階で乾かし始めます。
乾かしている間も花は開いていきますので、開花してからだと形が崩れたり花びらが広がり散ってしまうことがあります。
ドライフラワーがうまく作れないのは、切り取られてから時間が経過しているため、綺麗にドライフラワーにならず失敗することが多いです。
少しづつ束ねて輪ゴムや麻ヒモで縛ります。
あまりたくさん束ねるとカビの原因になったり。乾燥に時間がかかってしまいます。
直射日光の当たらない、風通しの良く湿度の少ないところに、少量の束にしたものを、間隔を開け吊るします。
仕上がりは湿気や気温でかなり差が出てしまうのがデメリットです。
②シリカゲル乾燥
ドライフラワー専用のシリカゲルに埋めて乾燥させる方法です。
小さな花、茎のない花のヘッド(開花部分だけ)、ハンギングするための茎がないようなもの等に向いています。
専用シリカゲルを大きめの密封容器にたっぷりと入れ、ドライフラワーにしたい植物を埋めるようにして一気に乾燥させます。
1週間ほどで仕上がり、植物は水分が抜けパリパリの状態になります。
花の色や形が残りやすいのが特徴ですが、デメリットとして、費用がかかる、シリカゲルに埋めるため押しつぶされた状態になる、取り出し空気に触れはじめると褪色が早い、シリカゲルの粉がとり除きにくい等があげられます。
③ドライインウォーター法
水に生けたまま自然に乾燥させる方法です。
鑑賞しながらドライにでき、ふんわりとした立体感を残せるのが特徴です。
少量の水に生け(水交換不要)、飾りながら少しずつ乾燥させていきます。
デメリットとしては、ドライフラワーになるまでに時間がかかる、時間がかかるためにかなり花自体の色が変わってしまい、綺麗な色になりにくい、上を向いた状態で乾燥させるため、首が垂れ下がった形になりやすい、カビが生えやすい等があげられます。
ドライフラワーの保管方法
ドライフラワーは直射日光と湿気が苦手です。
ドライフラワーにした花をなるべく長く保存しておきたい場合は、段ボールに入れ、日の当たらない乾燥した場所に保管することで、褪色もゆるやかで比較的良い状態を保ったまま保存ができます。出来れば、乾燥剤、防虫剤なども入れておくとなおいいでしょう。
ドライフラワーの鑑賞期間
ドライフラワーが誰の目で見てもきれいな日数は限られています。
また、花材によってもかなり違いますが、
一般的には3ヶ月〜半年ほどが目安です。
ドライフラワーにした時から毎日褪色が進み、どんどん茶色っぽく変化していきます。
日数が経過していくにつれアンティークな色合いになりますが、それを好まれる方も多くいらっしゃいます。
その後、花が散ったり、パラパラと落ち始めたら、寿命だと思ってください。
変化の過程を楽しむこともドライフラワーの醍醐味です。
どうぞお花を長く楽しんでください。